オルセー美術館展『いまを生きる歓び』予習ガイド|来日する画家20人と、章立てでわかる見どころ

美術館・展覧会レポ

上野に、オルセーがやってくる

オルセー美術館の館内

パリの死ぬまでに行きたい美術館のひとつが、オルセー美術館。恥ずかしながら、わたしはまだ足を運べていません。

そのオルセーの所蔵作品が、期間限定で上野にやってきます。東京都美術館で開かれる「いまを生きる歓び」展です。

オルセーには有名な画家の作品がたくさん展示されていますが、その中のひとり、ドガという画家にわたしが出会ったのは、原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』でした。

短編「エトワール」を読んで、踊り子を描くことにこだわり続けた人だと知ったんです。

あの一編がなければ、オルセーという美術館をここまで意識することはなかったかもしれません。

マティスやモネを描いた短編も入っていて、感想は『ジヴェルニーの食卓』のレビューにまとめています。

この記事は、行くと決めた人が会場で足を止める絵の当たりをつけるための予習メモです。

会期や料金といった基本情報から、来日する画家、展覧会が伝えたいことまで、ひとつずつ整理していきます。

展覧会の基本情報

複数の絵が飾ってある壁

まずは、押さえておきたい基本情報から。2026年9月1日時点の内容なので、直前には公式サイトで最新情報を確認してください。

正式名称は「東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」

会場は東京都美術館です。

会期は2026年11月14日(土)から2027年3月28日(日)までです。休室日は月曜日と、11月24日(火)、12月22日(火)から2027年1月3日(日)、1月12日(火)、3月23日(火)です。

ただし、祝日の月曜日と1月4日、1月11日は開いています。

開室時間は9:30から17:30まで。金曜日だけは20:00まで開いていて、入室は閉室の30分前までとなっています。

観覧料(税込)は、一般が当日2,400円・前売2,200円。大学生・専門学校生は当日1,300円・前売1,100円、65歳以上は当日1,600円・前売1,400円です。18歳以下と高校生は無料です。

うれしいのは、日時指定予約が不要なこと。行きたい日に、思い立って向かえます。

行くと決めているなら、最初に動きたいのがチケットです。

基本になるのが前売券。販売期間は2026年9月28日(月)から11月13日(金)までで、会期が始まると買えなくなります。

券種によって、払う額が変わります

チケットには何種類かあって、選び方で払う額が変わります。

いちばん早く動く人に用意されているのが超早割ペア券です。

一般2枚セットで4,000円。通常は2枚で4,800円なので、800円の差になります。販売は2026年9月27日(日)までです。

2人で行っても、1人で2回に分けて行っても使えます。

ただし利用できるのは2027年1月29日(金)まで。会期末の3月28日とは違うので、そこだけ気をつけてください。

9月28日からは通常の前売券に切り替わります。平日の夕方に動ける人には、平日限定トワイライト券という選択肢もあります。

こちらは一般1枚2,100円で、利用は11月17日から2027年1月29日までの平日16時以降。仕事帰りにそのまま寄りたい人には合いそうです。

ほかにもグッズ付きの券や、別の展覧会とのセット券もあります。

詳しくは公式のチケットページで確認してみてください。

会場までの行き方

アクセスは、JR上野駅の公園改札から徒歩7分。

東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅7番出口からは徒歩10分、京成電鉄の京成上野駅からも徒歩10分です。

誰の絵が来るの? 発表されている画家20人

美術館の絵を観ている人の後ろ姿

まず知りたかったのは、誰の絵が来るのかということでした。調べて並べてみると、発表されている画家は20人です。

  • カルポー
  • ドガ
  • クロス
  • ミレー
  • ガレ
  • ル・グレイ
  • ファン・ゴッホ
  • ピサロ
  • カイユボット
  • ルノワール
  • モネ
  • スーラ
  • ティソ
  • トゥールーズ=ロートレック
  • アンクタン
  • ボナール
  • ドニ
  • カリエス
  • ゴーガン
  • シニャック

並べてみると、印象派だけの展覧会ではないことが分かります。絵を描いた人ばかりでもありません。

自然の風景を静かに描いたバルビゾン派のミレー、絵の具を小さな点で置いていく技法の新印象派のスーラとシニャック、装飾的な色づかいで知られるナビ派のボナールとドニ。

時代も考え方も違う画家たちが並んでいます。

もちろん印象派の画家たちも来日します。モネやルノワール、ピサロ、カイユボット、そしてドガも名を連ねています。

絵画だけでもありません。彫刻はカルポーとカリエス、ガラス工芸はガレ、写真はル・グレイの作品も並びます。

分野を横断した約110点という規模の展覧会です。

ここに挙げたのは、公式サイトに作品画像が掲載されている画家の一覧です。総点数は約110点なので、まだ発表されていない画家や作品もあるはずです。

出品作品は変更になる場合もあるので、そのつもりで読んでください。

画家の名前だけだと、どの流派なのか分かりにくいかもしれません。印象派の基本と、代表画家7人の見分け方は、こちらに整理しています。

この展覧会は、何を見せようとしているのか

美術館で絵を観ている女性

展覧会のタイトルは「いまを生きる歓び」

19世紀の芸術家たちは、遠い神話や歴史ではなく、自分たちが暮らす「いま」を描くことに関心を向けるようになったといいます。

公式サイトには「日々の暮らしにささやかな幸せを見つけながら、激動の時代をたくましく生きる人々の姿」という言葉があります。

社会が大きく変わる時代に生きた人たちの、等身大の喜びを集めた展覧会、ということのようです。

展示は、画家別でも年代順でもなく、暮らしの場面で章立てされているのが特徴です。

  • プロローグ「ダンス世界をことほぐ」
  • 第1章「自然の美を見出す」
  • 第2章「よく食べ、よく働き、よく眠る」
  • 第3章「日々を重ねる」
  • 第4章「老いも若きも、貧富も問わず」
  • 第5章「幸せの手ざわり」
  • エピローグ「それでも世界は美しい」

ここからは公式の説明を離れて、わたしがこの展覧会をどう受け取ったかを書いてみます。

ひとつは、当時の「新鮮」と、いまの「当たり前」がつながる面白さです。絵の中の風景は、描かれた当時の人にとって新しい発見だったはず。

それを眺めながら、いまの自分たちの当たり前が、こういう歴史の先にあるんだと気づけたら面白いな、と思っています。

もうひとつは、「よく食べ、よく働き、よく眠る」「幸せの手ざわり」という章の名前を、現代の自分に引きつけて読むことです。

わたしたちはいま、スマホやネットやAIを通して、手で触れる目の前の場所ではないところで起きている物事に、たくさん触れています。

だからこそ、自然のなかで過ごす時間や、友達と会って遊ぶ時間のような、リアルな体験やつながりを、もっと大事に楽しんで生きていきたい

この展覧会は、そう思い直すきっかけになりそうな気がしています。

会場で足を止めたい3つの見どころ

いま発表されている作品のなかから、予習しておくと当日の見方が変わりそうな見どころを3つ選びました。

ゴッホ《星月夜》(1888年)

ひとつめは、ゴッホの《星月夜》(1888年)です。エピローグに置かれています。

実はこの絵、日本では《ローヌ川の星月夜》という名前でもよく知られています。1888年9月、ゴッホが南フランスのアルルで暮らしていた時期に描かれた一枚です。

夜のローヌ川の水面に街灯の光が長く反射し、その上に深い青の夜空と星が広がっています。

手前には二人の人物が描かれていて、ゴッホは弟テオへの手紙のなかで、この二人を「恋人たち」と呼んでいました。

ここで予習しておきたいのが、ニューヨーク近代美術館にある渦巻く夜空の《星月夜》は1889年の別作品だということ。

同じ邦題の絵が2枚あって、今回来るのはオルセーが持つ1888年のほうです。

ゴッホという画家をもっと知りたくなったら、ゴッホの生涯や名画をまとめたガイド記事もどうぞ。

ミレー《落穂拾い》とゴッホ《昼寝》

ふたつめは、ミレーの《落穂拾い》(1857年)と、ゴッホの《昼寝》です。どちらも第2章「よく食べ、よく働き、よく眠る」にあります。

《落穂拾い》は、収穫が終わった畑で腰を深く曲げ、落ちた麦を拾い集める三人の女性を描いた絵です。

奥には麦束や馬車のある豊かな収穫風景が広がっていて、手前の三人が拾えるのはわずかな麦だけ、という対比になっています。

1857年のサロン(官展)に出品された作品ですが、当時、最下層の労働者を主役に据えたことで、上流階級や保守的な批評家から強い反発を受けたそうです。

一方の《昼寝》は、ミレーの作品をもとにした模写です。ゴッホはミレーを深く尊敬していました。

白黒の複製図版をもとに、青や黄色という自分の色に置き換えて描き、ゴッホ自身はこの作業を「翻訳」と表現していたそうです。療養先のサン=レミで制作されました。

憧れた人と、憧れられた人が、同じ章にいる。そう考えると、見比べるのが楽しみになってきます。

ルノワール《浴女たち》(1918-19年)

みっつめは、ルノワールの《浴女たち》(1918-19年)です。エピローグに置かれています。

ルノワールが亡くなる前の、最後の数か月に描かれた作品です。ルノワールは1919年に亡くなっています。

初期から描き続けた裸婦の集大成といわれていて、ルノワール自身が最高傑作と位置づけていた、ともいわれています。

ルノワールの人生や代表作をたどりたい方は、生涯と代表作5点をまとめた記事もあわせてどうぞ。

ルノワールといえば、オルセーには《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》という、わたしが名前を知っている絵もあります。今回の発表済み出品作には入っていませんが、この絵についてはこちらに書きました。

行く前のチェックリスト

オルセー美術館の外観

最後に、いまの時点で分かっていることと、まだ分からないことを整理しておきます。

いまの時点で決められること、直前に確認すること

  • 超早割ペア券(一般2枚4,000円)の販売は2026年9月27日(日)まで。利用は2027年1月29日(金)まで
  • 前売券の販売期間は2026年9月28日(月)〜11月13日(金)
  • 日時指定予約は不要
  • 金曜日は20:00まで開室(入室は閉室の30分前まで)
  • 年末年始(12月22日〜2027年1月3日)は休室
  • 18歳以下と高校生は無料
  • 出品作品は変更になる場合がある

音声ガイドと図録については、今のところ公式サイトに記載がありません。行く直前に、公式サイトで確認してみてください。

混雑や所要時間についても、まだ誰も分からない段階です。開幕前なので断定はできませんが、約110点という規模を、ひとつの目安にしてもらえたらと思います。

上野で展覧会を回るときの感覚をつかみたい方には、以前書いた大ゴッホ展のレポ記事も参考になるかもしれません。

ただし、その会場は「上野の森美術館」。今回の「東京都美術館」とは別の館です。

どちらも上野公園の中にありますが、建物は違うので気をつけてください。

大ゴッホ展のレポには、黒を使わない夜の絵の話や、混雑をかわす回り方も書きました。今回の予習にも役立ちそうなので、リンクを置いておきます。

むすび

美術館で絵を観ている人々

パリのオルセー美術館には、まだ行けていません。それでも、名前を知っている絵がたくさん眠っているあの美術館が、期間限定で上野に来てくれます。

そう思うと、素直にわくわくしています!

前売を買って、11月を待ちたいと思います。

まずは会期と前売の日程だけ、カレンダーに書き込んでおくところから始めてみませんか?

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